今回は中小ゼネコンから大手ゼネコンへ転職されたtyazuke様の体験談です。

転職のきっかけ

転職体験イメージ

不満はあったがあきらめていた

私は元々、中小規模の地場ゼネコンに勤めていました。
元々私は給料と休日の少なさに不満を覚えていたのですが、そこからステップアップして大手ゼネコンに転職しようとは思っていませんでした。

なぜなら、新卒で就職活動した時、大手ゼネコンの就職はとても厳しかったのです。
リーマンショックが起き、東日本大震災が起きた直後で、企業側も積極的に採用活動を行っていませんでした。

先輩の転職がきっかけに

しかし、入社して6年目の末頃、私の直属の先輩が大手ゼネコンに転職して驚きました。
後で、その先輩にお話を聞くと、「今は景気が上向いている。それに、団塊の世代の技術者が一気に抜けるから、どこの企業も中堅技術者を集めている。特に構造設計者は引く手あまただ」という情報を得ました。

私はこれまでどうせ無理、と思っていましたが、先輩の後押しを受けて大手ゼネコンへの転職を決めたのです。

決め手は給与と休日

元々不満に思っていた給料、休日も決め手でした。
ある大手ゼネコンの情報を聞くと、今の給料から2倍もアップするような話も聞きます。
結局私が転職した大手ゼネコンは前職に比べて、年収ベースで1.5~1.7倍ほどアップしました。

また休日は、これまでは土曜日はおろか、日曜日さえも仕事をするような環境でしたが、そんなブラックな環境からも解放されました。
土日や祝日、長期休暇は休みとして割り切ってくれます。
これこそ企業の正しいあり方だと感じました。
有休所得も比較的簡単です。

大手ゼネコンの場合、労働組合があります。
労働組合がバックに着くことで、ボーナスや有休取得も積極的に会社へ進言できるのだ、と驚きました。私が勤めていた会社は労働組合さえなかったので、ハッキリ言って会社の言うなりでした。

以上のように、こんな働き方、会社で良いのか、という思いが強かったので、私の背中を教えてくれた先輩の転職は本当に良かったと思っています。

転職して良かったこと、悪かったこと

ゼネコン社員イメージ

給与が大幅にアップ

転職して良かったことは、給料がアップしたことです。

前職と比べると年収ベースで1.5倍~1.7倍になりました。
転職前の年収が400万円だったので、およそ600万円程度には増えた計算です。

会社を変えるだけで給料がアップしたこと自体、私にとっては驚きです。

休日も増えた

休日イメージ

また休日も増えました。

転職前の職場は第一土曜日出勤の会社でした。
それが転職後は完全週休二日制となります。

また転職前は、土曜日はあって無いようなもので、皆会社で仕事をしていました。
そんな中、私だけ有休を取得するのは忍びない雰囲気もあったのです。

転職後は労働組合もあり、休みは休みと割り切ってもらえます。
土日はしっかり休み、今の所休日出勤はありません。

仕事のクオリティを求められる

1つ悪い点は仕事のクオリティを求められる、ということです。

つまり、それだけストレスは溜まります。
やはり大手ゼネコンになると業界の顔。
ミスをすれば一気に広まり、適当な仕事をするだけで設計が悪いとか、施工が適当などと噂が立ちます。

そんな業界トップとしてのプライドや立場を弁えて仕事をする、ということが今までとの違いです。

ストレスが溜まるので、悪い点と書きましたが、全て悪いわけではなく、自分のスキルアップにつながっています。

転職活動の経緯

転職を始めるイメージ

準備はさほどしていない

転職活動の経緯ですが、準備という準備はさほどしていません。
面接時に聞かれる、であろう想定問題をあらかじめ作った程度です。

転職サイトに登録、応募するだけ

そもそも前職の会社に不満をもっていたので各転職サイトには登録していました。
例えば、マイナビ、リクナビなど良く聞く転職サイトです。

また、転職について詳しい専門家に相談できるリクルートエージェントなどのエージェント系もおすすめです。
大手ゼネコンの中には、応募する人の質を上げる(ミスマッチを減らす)ために、非公開で求人して、転職エージェントがスカウトするところもあります。

後は登録しているとスカウトがくるので、大手ゼネコンに応募するだけです。

tyazuke様の使われた転職サービスはこちら
【公式】リクルートエージェント

転職活動らしいことはしなくても受かる

先に述べたように、建設業界は団塊の世代が一気に抜ける状況です。
特に構造設計や設備設計の技術者はどこの会社も取り合っている状況と聞きました。

転職活動らしいことは特にしなくても、受かってしまったという印象です。
私の先輩も同じことを言っておられました。

面接では、

  • これまでどんな建物を設計したか
  • なぜ弊社に決めたのか
  • 異動があるが良いか(ゼネコンは建物の建設地ごとに現場が変わり、海外支店もあるためです)

など聞かれました。

内定は人事担当者から電話で頂きました。

転職先の手続きに対して特にストレスはたまりませんでしたが、問題は転職前の会社にどうケジメを付けるかです。
これが最も大変でした。

転職前の会社の慰留、円満退社で工夫したこと

円満退社イメージ
転職先の内定が決まると、まず転職前の会社に退職の旨を伝える必要があります。

私は内定が決まっても数日、話し出すことができませんでした。
しかし転職前の会社では、およそ3ヶ月前までには退職の意向を伝える必要があります。

直属の上司は納得

私は、まず一番近しい上司に対して退職の旨を伝えました。
一番近い上司は私と年齢が近いこともあり「自分も今の会社は辞めた方が良いと思っている」と退職には前向きでした。

問題は部長たち

問題は、部長たちです。

上司を通して部長との面会がセッティングされます。
私は2人の部長に対して1人で退職したいことを伝えます。

部長たちは、最初は「君はこの会社に必要な人材だ」など、人をおだてる言葉を言いました。

しかし私の決意が固いとしるや、「給料を上げるよう社長に稟議をかけよう」と自分たちのペースに持ち込んできます。

しかしこれは慰留させるための手段であって、口約束に過ぎません。
私はそれを知っていたのでキッパリと断りました。

慰留から怒り、そして心残りの結末

ただでさえ人材が少ない中小ゼネコンですから、その後も慰留には必死でした。
「頼むからやめないでくれ」と何度も引き留められたものです。

部長たちも最後は怒り気味に「今の設計や監理の仕事はどうするんだ」と聞かれましたので、そこはきちんと終わらせて辞める、と伝えました。

正直言って円満退社だったかどうかわかりません。

仕事はきちんと終わらせて最後は花束を貰い送り出してくれました。

ただ部長たちは私の退社日、出社しなかったのです。
仕事の手腕は尊敬していたので、それだけは今でも心残りです。

面接時の具体的なやり取り

面接時はこんなやり取りをしました。

「まずこれまでの設計された建物を教えてください。」

この質問はあらかじめ想定していたものです。
私はポートフォリオ(これまでの設計した建物が分かる資料)をみせて説明しました。

この質問に関連して
「設計で最も工夫した点はなんですか」
など質問されます。

また、1人は構造設計部の部長が面接官でしたので、構造設計の専門的な質問も受けます。

「これから弊社でどんな建物に携わりたいですか?」
という質問もあります。

大手ゼネコンは中小ゼネコンとは違い、大規模な建築を手がけます。
東京オリンピックの競技場やスカイツリーなどもその1つ。

「私には御社でドーム建築に携わりたい夢があります」
と答えました。

もちろん、そのための知識は持っていますなど、後の質問に耐えられるよう準備が必要です。

給与や福利厚生については労働組合が

給料や福利厚生については、私は直接交渉していません。

但し、大手ゼネコンには労働組合があります。
労働組合が給料水準やボーナス、有休取得率をアップするよう調整しています。

大手ゼネコンに転職して気づいたことは、大きい会社になるほど社員を守るシステムが完備されていること。
それが労働組合だと知りました。

給料のベースアップ、労働環境の改善、有休取得率、ボーナスアップ、全てを自分の声から発信するのは不可能です。
しかし、私たちの代弁者として労働組合が頑張ってくれます。
これは素晴らしいと感じました。

転職前の会社は、労働組合さえなかったのですから、それが新鮮でした。

業務内容はより専門的に

業務内容は、主に構造設計です。

これは転職前の仕事内容と同じですが、前職では設計とは別の工事管理を担当することも多かったです。
そのため設計が疎かになったり、自分の睡眠時間を削ったり、休日を無くすことが常でした。

今は、構造設計の業務に集中して取り組みことができています。
また、大手ゼネコンの場合、物件ごとにより業務の分業化が行われています。
ある企業の場合、事務所ビル専門の設計者がいることや、物流倉庫専門の設計者がいるなど。

私が転職した大手ゼネコンもそれに近く、なるべく合理的な仕事ができるように、プロジェクトは1つのものに絞って仕事をすることができました。
よってより専門家になれたと思います。

今の建設業界転職事情

団塊世代が抜け、技術者の取り合い

今の建設業界は団塊の世代が一気に抜け、経験のある技術者が居なくなるという事態が予測されます。
どの会社もこれを一番恐れています。

よって、資金力のある大手ゼネコンは今、積極的に中小ゼネコンから中堅技術者を引抜く計画をしています。

考えてみれば、大手ゼネコンは、中堅技術者になるまでの育成費用は支払うことなく、転職という機会に中堅技術者をゲットできるわけです。
また私たち中小ゼネコンの技術者は憧れの大手ゼネコンへ入社することができます。
双方にとってメリットは大きいのです。

東京オリンピックで東京は好景気

また東京オリンピックも建設業界に追い風を吹かせています。
今、特に東京の会社は景気が良いです。
新卒よりも転職組の方が大手ゼネコンに就職しやすいのではないでしょうか。

団塊の世代が居なくなること、東京オリンピック、この2つの影響が大手ゼネコンの転職に良い風を吹かせています。

あっという間に最終選考まで

現に私が転職サービスを利用した際も、大手ゼネコンへの転職は難しいと思いませんでした。
それどころか、あっという間に最終選考まで残ってしまう感触です。

私が新卒の頃、就職氷河期と呼ばれていました。
あの時代を経験したことが逆に良かったかもしれません。
私たちの世代がようやく評価されたのだと思います。

ゼネコンで転職を考えている人へのアドバイス

中小ゼネコンに勤めている方は是非、大手ゼネコンへの転職をおすすめします。

中小ゼネコンの未来はハッキリ言ってありません。
私がそれを肌で感じました。
(※注意 あくまでtyazuke様個人の感想です。中小ゼネコンでも優良企業はたくさんあります。)

転職するだけで給与が大幅にアップ

まず給料ですが、大幅にアップすることはありません。
それは、基本給のベースが低すぎるのです。
そこから毎年数千円アップしても本当にスズメの涙。

転職するなら今が本当にチャンスです。
転職するだけで給料が大幅にアップする機会、そうありません。

きちんと評価されるシステムでやりがいもある

また、転職前の会社ではボーナスの規定がありませんでした。
もちろんボーナスは出ますが計算式も何もありません。
これでは、社員はどう頑張っていいのかわかりません。

一方、大手ゼネコンの場合、ボーナスの計算式があるのです。
つまり自分がどう評価されるのか明確に知りえます。

中小ゼネコンや中小企業ほど、評価が不明確です。
私は、給料や休日と同じくらい悩みました。

転職前の会社では、同族社長の匙加減ひとつでボーナスや会社の方針を決めます。
しかし大手ゼネコンは、そんなことはありません。
もっと明確な会社設計があり、確固たる技術力があります。

私もそんな環境でステップアップしたいと思い転職しました。

今の環境に満足いかない方は、あきらめずに行動を

今の環境に満足がいかない方、「自分には大手ゼネコンは無理」とは思ってはいけません。

不満があるのなら今すぐにでも転職活動をしましょう。

今ならきっと大手ゼネコンでも転職可能です。

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